それから5000HITいつの間にかしてました!ありがとうございました!本当に感謝しています!リクエストとかやった方がいいのだろうか…。もし5000HITアクセスした方で、リクエストがあれば拍手か、コメントの方にどうぞ!…適当で申し訳ないです!
「え?」
驚愕の声が出た。無理もない。自分が今居る場所。見たことも無かった。周りは花畑。辺り一面、どこをどう見渡しても花畑が続いている。おとぎ話に出てくるようなその情景。
何で?確かお風呂に入ってすぐ寝たはずなのに。
しかしよく考えればこれは一つのミステリーだ。寝ていたはずの人間がいつの間にか見知らぬ花畑に!
「面白いじゃない」
最初は不覚にもアホな声を出してしまったが、今は面白い感情が優先。
「まずは状況把握が先ね」
その辺を歩いてみた。だが景色は一向に変わる様子は無い。するとこれは、あの時――――変な夢を見た時みたいな状況だと言えるのだろうか。
だとするとアイツがどっかにいるはずだ。
「ようハルヒ」
やはり居た。後ろから声を掛けられた。後ろをゆっくり振り向くと、いつもの姿のそいつがいる。
「またアンタなのね」
「また、とは?」
「とぼけんじゃないの。あの時よ。あの学校で閉じ込められた――ってそっか。あれは夢だったわね。良いわ。気にしないで。何でアンタもここに?」
「何で…って、そりゃ心外だな。お前が呼んだんだろうが」
「はぁ?」
呼んだ?あたしが?
そこでようやく――――ああ。これは夢なんだと理解した。どうやら夢の中のあたしはこの目の前の男をこの場所に呼び出したらしい。
そういうことか。ああつまんないの。
と思ったのも束の間、次の瞬間、あたしが今まで着ていたパジャマがパッと変わった。自分の格好を確認してみると、あたしはドレスを着ていた。キレイなドレス。純白の色。つまりはこれは――――ウェディングドレス?
何で?どうして?
「ハルヒ」
考えている間にキョンが話しかけてくる。
「うるさいわね。ちょっと黙って…」
――――なさいよ。口に出なかった。キョンを見ると、キョンが着ているのは白いタキシードだった。
「なるほどな。そうか。お前、結婚式を挙げるなら二人で静かにって言ってたもんな。だからここに俺を呼んだのか。それにしても良い場所だな。どうやって見つけたんだ?」
知らないわよ。
それよりキョンは何と言った?結婚式を挙げるなら静かかな場所で?結婚式?結婚?誰と誰が?
いや、どう考えてもあたしと、キョンが――――!
待ちなさいよ!違うわ。だってあたしがこんなバカキョンとそんな関係になりたがるワケないじゃないの。落ち着きなさい涼宮ハルヒ。そう。落ち着いて。
「ハルヒ…」
混乱状態のあたしをキョンは抱きしめそして唇を――――。
待ちなさい!調子乗ってんじゃないわよバカキョン!
夢と現実と
「このバカキョン!!!!」
叫んでから、周りを見回してみた。
あれ?花畑は?
よくよく考えてみる。そう言えばあれは夢だった。途中で気が付いてたんだ。なのに、キョンがあんな格好であんなことするから――――あぁ!ダメ。これ以上思い出そうとするとイライラするわね。イライラよ。嬉しくも何とも無い。大体、何よ。花畑で結婚って?あたしはそんな少女趣味じゃないわ。夢は願望を写すこともあるっていうけど、そんな変な願望持ってない。忘れよう。大体キョンにあんなことされて為す術も無かったなんて末代までの恥だ。いくらあんなキョンが新鮮過ぎて、ちょっとカッコイイとか一瞬思ったのも何もかも忘れよう。あたしはそんな恋する乙女じゃないわ。
勢いよくベッドから飛び出る。全力で学校の準備をする。何となくだ。そしてあたしは学校へと走り出した。
教室まで行くと誰も居なかった。当然と言えば当然か。時間が早すぎる。まだ始業までは三十分もある時間。そんな時間に来る生徒は居ない。教室でとりあえず寝ることにする。今は何一つやる気が起きない。
「はぁ…」
席に着いて、突っ伏して、思わず漏れる溜め息は何のためか。とにかく全部はキョンのせいだと決めつけた。
というか間違いなくキョンのせいだ。
バカキョン。アホ面。マヌケ面。
思い付く限りの罵倒を心の中で言いまくる。そんなところでキョンに何の影響も無いのは百も承知。だが言わずにはいられない。
「バカ…キョン…バカ…」
遂に抑えられなくなって口に出た。これじゃああたしの方がバカみたいだ。
「誰がバカだ」
――――声が聞こえてきた。よく聞いている声が。ガバっとこれまた勢いよく顔を上げて、教室の扉の方を見ると、そこにはやはりキョンの姿が。いつもの制服、いつもの態度。だというのに、
「う!うるさい!アンタいつから居たのよ!?」
一瞬にして頭が混乱した。何故か夢とリンクしてしまった。だから思いっきり動揺した声が出てしまったのだ。
ああもう!何で、今日!このタイミングで!コイツは現れるんだろうか。
「今来たばっかりだが…。ところで…どうした?いきなり変だぞ?お前」
「変も何もアンタがいきなり現れるからでしょうが!何で今日、こんなに早いのよ!」
「たまたまだよ。たまたま。そしたらお前が居て、いきなりバカと来たわけだ。お前な、一人でブツブツ言ってると怪しいぞ。俺が第一発見者だからまだ良かったがな」
そんなことを言ってキョンはあたしの前の席に腰掛けて、いつもの横向きスタイルで私の顔を見てくる。覗き込むような感じ。
――――顔が熱くなってくるのがよく分かった。近くで見るキョンの顔は何も変わってない。だけど、あたしの変な夢見がそれの印象を変えている。そのせいだ。
じゃなければコイツなんかにこんなドキドキするわけがない。
「で、どうした?」
「別に!何でも!とにかく何でも無いから!」
とにかく今はあたしを見るな!
そう思って再びあたしは突っ伏した。こんな顔をこれ以上見られてたまるもんか。
「何でも無いようには見えん。ま、話したくないなら構わんが…」
キョンはそれで一回言葉を切った。それからまた何かを言いたそうな雰囲気を出している。言葉を選らんでいるようだった。そして、
「まぁあれだ。溜め込むのは良くない。話したくなったら話せ。俺が聞く」
そんなことをあたしに言った。
おかしい。キョンはあたしにこんな優しかったっけ?今日のキョンは変だ。それともあたしが変だから変に感じるのか。全く分からない。でも、何だか言葉に本当に心配しているような色が感じられて、こんなくだらないことでこんな思いをさせたくはないと感じた。ゆっくり顔を上げる。キョンの顔いかにも心配してますという感じだった。
すごく、罪悪感を感じた。思えば、あたしがこんな気持ちになるのは大体がキョン絡みだということに今気付いた。変なもやもやした感じが心の中に浮かんでくる。
「…変な夢を見たの」
「夢?」
「…内容は言えないけど変な夢。そのせい」
それでもあたしが言えたのは最低限のことだけ。キョンを心配させたくないと思っていても、何かが邪魔してちゃんと言えなかった。なんでコイツの前ではこんな風になるんだろう。
「そうか。…分かった。ちょっと来い」
「え!?」
あたしのよく分からない話しを聞いてから、キョンはあたしの手を握って走り出した。途中、ウチのクラスの生徒とすれ違っても、意に介さないでひたすらに走った。遂には上履きのまま校舎の外に出て、更に走る。
「どこ行くのよ!?」
「気にするな!付いて来い!」
いつもあたしが引っ張っているから、引っ張られるのは新鮮だった。でも、悪くないと思う。こんなのも。たまには。
やがて、スピードを緩めるキョン。あたしもキョンも息が切れている。
「はぁ…はぁ…。着いた…」
「い…ハァ…いきなり…ハァ…何なのよ?」
「はぁ…周りを…は…良く見てみろ」
周り?よく見渡すと――――そこには満開の桜の木々。空き地のような場所の周りにたくさんの桜があった。こんなに近くだったのに来たことの無い場所。
「すごい…」
「この前たまたまこの辺で見付けたんだ。穴場だな」
走っていた時はそれに夢中で気が付かなかったけれど、こんなにも多くの桜があったことは知らなかった。よく町は歩いているのに、何故だろうか。
けどそんなの今はどうでも良くて、あたし達は桜の木を見ていた。その内にキョンがゆっくりと口を開く。
「…なんて言うかな。一応お前にも見せておきたかったんだよ。せっかく見付けたんだし」
キョンの方を見ると照れ臭そうに頭を掻きながら、そっぽを向いていた。そんなキョンを見ていると、変なあの気持ちがまた沸き上がってくる。今度はより強く。心臓の音が大きくて早いのは、決して走ったせいだけじゃない。
「それにな」
そう言ってキョンはこっちに向き直った。顔は予想通り赤かった。あたしも多分一緒の顔をしているんじゃないかと思う。
「お前の元気無いと…気になって仕方ないんだよ。夢見が悪かったんなら、この桜を見て忘れちまえ」
何でか―――――胸がめちゃくちゃに苦しくなって、顔が熱くて爆発しそうで、ここにあたしが居るという現実感が無くなった。
それは一瞬だったけど、確かにそんな感覚に陥った。
変な夢を見て、八つ当たりして、罪悪感を感じて、そして今。あたしは気付いてしまった。これは間違いなく―――――。
「キョン…」
キョンの顔をしっかりと見た。キョンもあたしを見ていた。見つめ合った。桜の花びらが風に舞って、あたしたちを包む。今日見た夢とどこかが違って、どこかが似ている光景。あれは、あたしの願望だった。今気付いた。
夢だとキョンはこれからあたしに――――。
ドキドキと脈打つ胸が苦しい。息が上手く吸えない。それでも――今なら許すから。だから早くしなさいキョン。
「まあ。とりあえずそれだけだ。さあ学校戻るぞ。もう遅刻だが」
「―――――は?」
「お。いつもの反応だな。一応お前も元気出てくれたみたいだし。ま、夢をいつまでも引き摺るのは良くないぞ」
何で…この場面で…コイツは…。
「さあ早くしないとな。もう遅刻ギリギリだ…」
あたしをこんな気持ちにさせといて…。
「ま、歩いても何とか間に合うから帰りは歩いて…ってどうした?ハルヒ?」
ここまで来て、ようやくコイツはあたしの様子に気が付いたらしい。あたしが放つ、怒りのオーラに。
あたしをこんな気持ちにさせて、何も知らない顔をしている。
このあたしをこんな気持ちにさせて。このあたしを!
「このバカキョン!!」
「おぉ!?」
バチーン――――と良い音が響き渡りキョンはぶっ倒れた。
「しばらく反省してなさい!」
それだけ言い残してあたしは勝手にズンズン歩き出す。
歩きながら、我ながらけっこう自分勝手だったなと思った。そしてあの時感じた感情は多分ずっと消えないとも。
あたしを気にしてくれながらも鈍感で、キメる時にはキメてくれるのにヌケている。だけどあたしはそんなキョンが間違いなく――――好きなのだ。
自分で言ってて恥ずかしいけど、そういうことだ。
全く!次はちゃんと決めなさいよねキョン!
何て思いながら、あたしは歩く。ちゃんと後でこんなに怒った理由を説明しなきゃって思いながら。花畑のあれが、ちゃんと現実になるように、ね。
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といいつつハルヒ可愛いよハルヒw
ハルヒ視点いいですね。
甘さ加減もほどよくて楽しめました。