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ジョイント195

自分が思いついた文章を徒然なるままに書くブログです。二次創作系。がんばっていきます!
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悪い夢を見た後は
続きです!見てやってください!

「――――っ!!」

声にならない声を上げて跳ね起きた。呼吸は荒く、汗も噴き出てくる。全身びっしょりと濡れていた。

「夢…なのか?」

声に出る俺の疑問。夢かどうか。判断出来なかった。あれは本当に朝倉が見せたものなのか。ただの夢なのか。ここは現実の世界なのか。作られた世界なのか。
不安で押しつぶされそうになる。なにもかも判断出来なかった。判断力が低下し過ぎて、現実がわからない。

「ハルヒ…!」

その名を叫ぶ。ハルヒ。今現在の俺の恋人の名。夢の中の俺はそのことを覚えてなかった。今ならハッキリわかる。それだけは分かる。携帯電話を取り出す。発信履歴の中にその名前をすぐに見つける。手が震えた。

プルルルル――――

プルルルル――――

プルルルル――――

プ――――

「なによ。こんな夜遅くに」

コール音三回。四回目に差し掛かろうかという時。聞きたくてたまらなかった声を聞いた。夢では四年間聞いていなかった。その感覚と重なって、無性に懐かしく感じた。
涙がでそうになる。絶対泣くもんかと堪えた。

「ああ…起きてたんだな」

「アンタの電話で目が覚めたのよ」

「そっか…」

時間は確認出来なかった。それほどまでに焦っていたから。声が一秒でも早く聞きたくなったから。無意識で電話をかけてしまったせいか。何を話せば良いのかわからなくなる。そして声だけじゃ我慢できなくなってしまう。

「今から…そっち行って良いか?」

だからだろうか。普段なら絶対に言わないこんな言葉を言ってしまったのは。

「今からって…もう電車も――――」

「自転車で行く。悪い。行かせてくれ。すぐに着く」

「ちょ――――」

ハルヒの声の途中で電話を切る。悪いとは分かっていた。常識外れなのも知っていた。迷惑かもしれなかった。――――それでも顔を見たくてたまらなかったんだ。




「はっ――――はっ――」

自転車を飛ばす。ハルヒの家までなら普段は三十分。今なら多分十五分もかからずに着くだろう。
顔が見たくて仕方がない。何故か俺の頭の中から、偽りのはずのハルヒの泣き顔が消えてくれない。それが俺を焦らせる。掻き立てている。

「はっ――はっ――」

走って走って。ようやく到着する。そこには見間違うことはない。ハルヒが家の前で待っていた。そのすぐ近くに自転車を停車させる。

「もう!いきなりどうし――――」

ガシャン――――。

きゅ――――。

その顔を見た瞬間に自分を抑えられなくなった。感情が爆発してしまった。夢の中での朝倉に対する怒りは飛散して、ハルヒに対する愛しさだけが今の俺の全てになっている。自転車を倒したことも気にかからない。夢の中の泣き顔。今のハルヒからはそんなもの想像出来やしない。だけど、この目の前の少女の泣き顔だけが妙にリアルだったせいで、抱き締めずにはいられなくなってしまったんだ。

「いきなり…どうしたのよ?」

「このままでいさせてくれ…」

ハルヒの言葉に俺はそれしか返せない。俺の中にある感情をどう伝えれば良いか分からない。だから抱きしめ続けて伝えようとしていた。

「もう…分かったわ。好きなだけこうしてなさい」

「すまん…」

俺の中にあるものが伝わったのかどうかは分らない。けれど、ハルヒはこうやって受け入れてくれる。弱い俺も。全て。

「たまにはアタシに甘えさせてあげるわ。…ここんとこアンタに甘えてばっかりだったし。今日くらい特別。謝ることなんかないわ。…アタシに少しくらい頼りなさいよ。バチは当たらないんだから」

言葉が、抱きしめた温もりが、優しさが、俺の中に広がってゆく。
あの夢は本当に朝倉が言った通り、俺が別の世界で生きていたものだったのかもしれない。
本当はただの夢だったのかもしれない。
今はどっちでも構わなかった。今俺の腕の中にある温もり。それがあるならば、今がここにあるならばどっちだって構わない。
それが今の俺の全て――――。




「なんか恥ずかしいな…」

翌日起きての第一声。朝冷静になって考えてみれば、男と女で立場が全く逆のことをやってしまったと思った。怖い夢を見て、寂しくなって顔が見たくて会いに行く――――。

「まるっきり情けない奴じゃねぇか…」

とはいえ、ハルヒは受け入れてくれたし良しとしよう。…多分大丈夫だ。
朝食卓に着くと昨日夜遅くに出かけたことを親に言及された。そして何故かハルヒに会いに行ったことがバレて散々からかわれた。
全く忌々しい。ああ忌々しい。




通学路を歩く。慣れ親しんだこの道。そして歩きながら考えた。
あの夢は、俺の一つの未来の可能性を示唆していたのかもしれない。
いつかみんなが居なくなって、俺達だけになって、俺が自暴自棄になって、ハルヒと俺は別れて。そして、それをハルヒが俺に覚えていて欲しくないと思ったんならあの俺の完成だ。夢も希望もない俺。思い出すだけで身震いがする。
けれど今回のことで感じることが出来た。
それは、失うことの怖さ。今の大切さ。
あの世界。俺は全てを失くしていたと言っても過言じゃない。そんな気持ちを味わったからこそ、今が大切に思える。人はみな、何かを失ってからその大切さに気づくという。俺は失わずに気付くことが出来た。だから俺は今日一日を強く生きていこうと思えるんだ。
他でもない、愛しきアイツと共に。
いつの間にか教室の前まで来ていた。喧噪が響いている。それが妙に心地よかった。
そしてその扉を開ければ――――。

「おはよう!キョン!」

愛すべきハルヒがそこに居る。百万本のひまわりすら敵わないような、明るい笑顔で。
俺の中に微かに残っていた、ハルヒの泣き顔。全て消えた。
代わりに胸に刻まれたのは――――その、笑顔。




「ふぅ~。疲れた」

北校の校舎の屋上。そこに彼女はいた。青い髪に奇麗な顔立ちをした少女。朝倉涼子。

「まぁ上手くいって良かったけどね」

彼女は一人そう呟いて、屋上のフェンスに腰かけた。普通の人間なら不可能なことも彼女になら可能。

「あなたは少しやり過ぎた」

彼女の隣で声がした。声の正体。長門有希。フェンスの上に立って、朝倉を見降ろしている。その表情は、無表情のように一見見える。しかし普通の人間には分らないかもしれないが、彼女は怒っていた。

「もう。ビックリするじゃないの。長門さん」

そんな長門にも、微笑みながら彼女は言った。そして続けた。

「心配しなくても、私はもう一度すぐに消えるわ。その前に、やりたいことだけやっておきたかったのよ」

「彼は苦しんだ。少なくとも、あの夢を見ている間の彼の精神状態は激しく乱れていた。私は、そのことに怒りという感情を感じている」

静かに、しかしハッキリと朝倉の言葉に対して長門はそう告げた。なのに朝倉の表情は微笑
んだままだ。

「まあ…あなたがそういうのも無理はないわ。それは分かっている。けれどね、私にはこういうお手伝いの仕方しか出来なかったのよ。歪んでると人は言うかもね。だけど、あの二人を見ていて一番最初に覚えてしまった感情が恋愛感情なんだもの。そしてその背中を押して上げたくなっちゃたのよ。中途半端な理解しか出来なかったせいで、ああやって日常がどれだけはかないかを教えてあげるくらいしか思いつかなかったの」

朝倉は微笑んだまま。けれどその表情は少しだけ影があるようにも思える。
感情など理解できないはずのインターフェイス。二人は徐々にそれを理解しつつあった。

「私には…分からない。あなたのやり方が」

「それで良いのよ。私達もそれぞれ違うんだもの。お互いやりかたが違ったって良いでしょう?ま、せっかく一日だけこの肉体を与えてもらったのに、あんなことしかしたいことがなかったっていうのも変な話ね」

話している内に朝倉の体は段々と砂のようになっていく。いつかと同じように。

「はぁ…。もう限界らしいわね。じゃあまたね長門さん。二人をよろしくね」

そう言って朝倉は消えていった。いつかと同じように。長門はただそれを見ていた。そして彼女に理解できない感情が渦巻いていた。まだまだ理解すべきことは多い。
彼女はなんとなく空を見上げた。
――――雲一つ無い快晴だった。
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thame:涼宮ハルヒss genre:小説・文学
悪い夢 | トラックバック(0) | コメント(2) |permalink
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Comment

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悪い夢が覚めてからのハルキョンのラブラブっぷりに癒されました。
夢を見ている間の、女性に興味が持てないキョンが悲しかっただけに。
朝倉は青鬼役だったのでしょうか。
2008/02/23 Sat| URL | 911 [ edit ]
コメント返し
毎度ありがとうございます!そして911様のサイトに行ってなくてすいません。自分のところにかかりっきりです。
そうですね。朝倉がこういうことを手助けするならこんな感じで青鬼役になるんではないかと思って書きました。こんな歪んだ感じがピッタリな気がしてます。
2008/02/24 Sun| URL | koko428 [ edit ]
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