FC2ブログ

ジョイント195

自分が思いついた文章を徒然なるままに書くブログです。二次創作系。がんばっていきます!
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 |permalink
悪い夢
今回は「悪い夢」というハルキョンssを書かしていただきました。続きありますんで、これを読んでくださったならそっちも必ずお読みいただくことを推奨します!というかこれだけじゃ意味不明だと思われます…。
前置き以上!どうぞお読みください!
「四年振りか…」

思わず感慨深く洩れる独り言。四年ぶり――――言葉にしてみれば短いが、長かった。この町を懐かしく感じさせるには十分過ぎる時間。光陰、矢の如しとはよく言ったもの。それを俺は今肌で感じている。
息を軽く吸う。懐かしい匂いとはこういうものなんだと、強く実感した。

「とりあえず…実家だな」



「あ!お帰り!キョン君!久しぶり!」

実家には連絡を予め入れておいた。さすがに、今さら秘密にして驚かせてやろうなんて思わない。そこまでガキな考えは、とうの昔に消えている。
そして俺を最初に出迎えてくれたのは、幾分か成長した妹だった。俺が高校を卒業してから会ってない。俺がこの家を出ていく時、猛反対していた。
そんな妹も今年から大学生になる。もう大分大人っぽくなっている。

「ああ。しばらくだな。元気にしてたか?」

「うん。私は元気だよ!」

それでも少々のあどけなさが残っているのは愛嬌というものか。なんだか、安心した。

「でもさ、どうしたの?いきなり帰ってくるなんて」

「まあいろいろとな」

しばらく俺はこの町に帰ってきていなかった。帰りたいと思わなかった。忘れていたことがあった。けれど、気付けたことがあった。だからこの町に来たんだ。
最高の思い出と、最悪な自分がいたこの町に。

「ふ~ん。そっか!あ。お母さんたちもうすぐ帰ってくるよ!今夜はすき焼きだってさ!」

「そりゃ嬉しいな」

一人暮らしの極貧生活ではすき焼きなど手が出るはずもない。純粋に嬉しかった。

「じゃあ…部屋にいるから母さんたちが来たら頼む」

「うん!キョン君。後で色々お話聞かせてね」

話し――――これまでの俺。この町をでてからの俺。思い浮かべた。すぐに止めた。

「気が向いたらな」

そして俺は階段を上がって四年前まで暮らしていた部屋に行く。



扉を開けて、入れば勉強机とベット以外何もなかった。当たり前。ほとんど引っ越しの際に持ち出すか、処分するかしてしまったから。けれど、とりあえず寝床があれば問題は無い。
ベッドに寝転ぶ。母親が気を利かかせてくれたみたいで、布団はセットされていた。ありがたい。それとなく天井を見上げる。考え事をする時はいつもこうしていた。
町を出てからの自分。軽く思い出してみた。

どうしてなの――――何人かの女に言われたセリフ。俺が聞きたかった。自分でも分らなかった。自分が知らない疑問に答える術を俺は持ってはいない。
この四年間で、何人かの女と付き合った。俺なんかどこが良いのか分らなかった。けれど付き合ってくれと言われたからそうしただけだった。デートを何回か重ねたりもした。二人、大学で食事をとったりもした。それだけだった。体を重ねたこともない。キスもしたことがない。手もつないだこともない。俺が拒んでいた。大抵が何故と聞かれた。わからないと俺は言った。
もう…良い――――。
そう女に言われて終わる。何人かは泣きながら、何人かは怒りながら。
お前はホモなのかと友人にからかわれたこともあった。女の友達だという男が俺に掴みかかって来る時もあった。
すぐにぶっ飛ばした。完膚なきまでに叩きのめした。
病院送りにしてしまった一人に言われた。
お前はイカれてるよ――――。
そして俺の周りにはいつしか誰も居なくなった。なのに、何も感じなかった。感じることができなかった。
俺はイカれているのか―――――。
幾度となく自分に問いかけた。答えは出なかった。ただ正体不明のやり場のない感情があることだけは知っていた。毎日何かをしていなければ本当にイカれそうだった。
その全てを勉強に費やした。成績は学部トップになれた。教授から良い就職先を紹介してもらえた。春から俺はそこに行く。誰もが通る道。誰もが通る敷かれたレール。
初めは、くだらないと思いながらこれで良いと思えた。だからこのまま人生を歩んでいけば良いと思っていた。

ある日のことだった。俺はたまたま昔の荷物を整理していた。理由はよくわからなかった。ただ何となくそうしなければいけない気がしただけだった。
そこで見つけたのは写真。その時の俺には写っている写真の意味が理解出来ていなかった。母校のどこかの教室。それだけは分かった。知らない女と二人きりの俺。仲が良さそうに寄り添っていた。
誰だ――――?
俺のアホ面を見た後に、女の顔が目に止まった。美人だった。腕には「団長」と書かれた腕章。腕を組んで偉そうに座っている。そして目を引いたのは何よりも――――太陽のような笑顔。その時――――俺は全てを思い出した。
これは――――!!
この正体不明の感情の意味を。




「キョンく~ん!お母さん帰ってきたよ!」

そこまで思い出して、意識が現実に戻された。妹の声。母さんの帰りを告げてくれていた。

「今は…良いか」

そう呟いて階段を下りていく。五年ぶりに会う母親は元気そうだった。息子としては、何よりだ。

「ただいま。あんたはお帰りなさいだったわね。久しぶりじゃないの。それにしても急に帰って来るって聞いた時は、お母さんビックリしたわよ~」

「すまん。俺にも事情があってさ」

「そう。まあゆっくりしてきなさい」

母親の厚意に今日は甘えるつもりだった。多分、明日はやることが山積みだろうから。

「お言葉に甘えるよ。夕飯何時頃になる?」

「そうだね~…大体六時半っていうところかしら」

「分かったよ」

そこまで言って思い出した。俺は肝心の言葉を言ってない。

「あ。母さん…ただいま」

「ん…ああ、お帰り」

家族との会話。久し振りの会話。もう少し早くあれの存在に気付いていれば良かったと本気で思った。



四年ぶりに家族揃って食べる食事は美味かった。久し振りの団欒。ありきたりの会話。

「もうお前も大人だしな。一杯いくか?」

夕飯時を狙ったかのように帰ってきた親父の食後の一言。親父が酒を好きなのはガキの頃から知っていた。

「ああ。もらうよ」

親父は嬉しそうに笑うと、冷蔵庫から缶ビールを取り出して俺に渡した。母さんは酒を飲まない。晩酌の相手をするのも悪くはない。

「それにしても…まさかお前があんな良いとところに就職できるとは、夢にも思ってなかった」

だろうなと思った。けどそれは今の俺がやったことではない。俺の中の何かがそうさせていたにすぎない。今はもう別のことに頭が支配されている。けれど、無難に返せる余裕くらい持ち合わせている。

「俺が一番驚いているさ。色々あったけど、とりあえずはひとまず落ち着いたっていう感じかな」

「そうか」

それだけ言って親父はビールを一口飲んだ。俺もそれに倣って飲む。舌ではなく、喉で美味さを感じると誰かが言っていたのを思い出した。

「いけるようになったな。お前も」

「まあ…な」

それから親父とはいろいろなことを話した春から社会人になることについての心構え。礼儀。常識。そのどれもが、今の自分には関係のないものだと知っていた。
心の中で何度も親父に謝った。



あの日、思い出したのは俺の中にある。高校最後の記憶。

『キョン…』

悲しげな顔のハルヒ。俺がそうさせていた。
二年の終わり頃。俺とハルヒを除くSOS団員全てが居なくなった。理由も何も説明されないまま消えた。最初はハルヒが居るならどうにかなると思っていた。違った。
どうにもならなかった。ハルヒの記憶からはみんなの存在が消えていた。知らないものをどうにかする力なんてあるわけがない。ハルヒは神では無かった。
俺はハルヒが好きだった。けれどみんなが居る中で幸せになりたかった。
その時の俺はみんなが居なくなったことばかりに気を取られ、ハルヒにと話す時間なんか作れていなかった。

『何でなの…キョン』

二年の終わり。夕暮れ時の誰もいない校舎。そこでハルヒに言われたセリフ。

『理由なんかない…』

ハルヒの顔は見れなかった。けれど言いたいことは分かっていた。
なんで最近冷たいの。何で最近話してくれないの。なんで最近部室に来ないの。
理由を説明してやりたかった。出来なかった。
言ったって理解してくれるはずがなかった。わかるはずがなかった。何度も説明したことだった。もう居なくなった人間たちのこと。初めは二人きりしかいなかったようなSOS団で生きていこうと思った。ダメだった。まだみんなと居たかった。俺は弱すぎた。その内に段段と部室にも行かなくなった。ハルヒと話せなくなった。ハルヒを俺が傷つけていた。

『アタシ…あんたが』

その声の後、ハルヒは何も言わなくなった。違う。言えなかった。分かっていた。
ふとハルヒの方を向いた。

『…っく…うぅ…』

――――ハルヒは泣いていた。好きな女の子の泣き顔。この世で一番見たくないもの。
俺のせいだった――――。



帰省した翌日の夕方。妹の買い物に付き合った後、俺は北校の校舎を目指していた。そこに何かがある。確信があった。消えていた俺の記憶の意味がそこにはある。
殺人坂。久し振りに上った。

「疲れるな…畜生」

足がすぐに張る。運動不足だ。
そして見えてきた我が母校。北校。

「やっとか…」

感慨深く呟く。そしてすぐに気が付く――――異変。
平日の夕方頃。部活をやっている生徒が何人かはいるはず。なのに、誰もいない。なんの声もしない。

「やっぱり…何かあるのか」

校舎の中に入った。そこですら何の声もしない。疑念は増していく。とりあえず、真っ直ぐに二年五組に行こうと、自分の行動を決めた。




高校時代の記憶を思い出してからおかしいことに気がついた。俺の記憶は二年の終わりのところで終っていた。三年生になってからの記憶がない。全く思い出せない。違った。思い出せないというよりも、「存在してない」。
一年間なにをしていたか。俺とハルヒはどうなったか。どうやって大学に入ったのか。
――――何もなかった。
大学四年間の俺の記憶はある。しかし、一年間の記憶だけがない。そこだけポッカリと穴が開いている。

だから俺はこの町に来た。なにが起きたかを知るために。
女に何も感じなかったのも、やり場のない感情も、全ての始まりは間違いなくここにある。
二年五組の教室。この時間。全てを思い出した俺。パーツは揃った。
ガラッ――――。
扉を開けてそこにいたのは――――。

「お久しぶりね。キョン君」

――――一瞬頭が真っ白になった。何故。どうして。こいつがここに居る。消えたはずのコイツ。砂のように消えていった女。長門に消された女。

「なんで…」

俺は喉からそんな声を絞り出すので精一杯だった。それほど動揺していた。
朝倉涼子がそこにいた――――。

「クスッ。そんなに驚かなくても良いじゃないキョン君。」

妖艶な微笑み。忘れたくても忘れられない。二度殺されかけたことは忘れられない。普通の人間には十分すぎる経験だ。

「どうして…お前がここにいる?」

いつかのセリフ。同じことを俺は言った。それしか言えなかった。恐怖が拭えなかった。足は震えている。また殺しにかかってくるかもしれない。長門も居ない。

「急進派がね、面白いことを思いついたの。あなた達をみていてね」

あなたたち――――ハルヒと俺。分かったのはそれだけ。それ以外、こいつが何を言いたいかわからない。俺達を見ていて面白いこと気付いた?ワケが分らない。

「というよりは…正確にはあなたかな。普通の人間だからこそ、私たちに選ばれた。あなたの記憶をちょっといじらしてもらって、この世界に連れて来たの。」

記憶をいじる?この世界?連れてきた?いくつものキーワード。

「そ。一つのヒントを残してね。それがあの写真だったわけ。それにちょっとした細工をさせてもらったの。あの写真を見た時にちゃんとあの記憶が蘇ってくるようにね。つまりあなたが涼宮さんを泣かせてしまった記憶。そしてあなたにその時の感情だけは覚えていてもらって、日々を過ごしてもらったの」

それがあの俺。女と付き合っても何も感じず、毎日何か足りないような感覚を感じたまま生きていた俺。――――ハルヒを好きだという感情はありながら、記憶は失くしていた俺。最後に――――ハルヒを泣かしてしまったことになっている俺。
泣いた顔が脳裏にしみついて離れないでいる。そして、それは。

「まあ、どれもあなたがしたことじゃないんだけどね。泣いたのも全部さ。私たちが作り出した記憶なんだもん。ここは本当の世界じゃないしね。ビックリしたでしょ?涼宮さんが泣いた記憶なんてさ」

こいつらが作り出したものだった。作られたものだった。俺の脳裏に染みつけられたものだった。それを自覚した瞬間――――。

ダン――――!

「きゃ!」

恐怖が怒りにスイッチした。嘘の記憶。作りだされた記憶。そして違う世界。パラレルワールド。だから今の俺の記憶の中にあるハルヒの泣き顔は本当のもじゃない。虚構に過ぎない。
けれどその記憶はこの世界での事実だった。みんなが居なくなり、ハルヒを泣かし、その記憶を消され、感情だけが残された俺。その俺が過ごした希望もなにもないつまらない未来。
それは全てこいつのせい。そして何よりも許せないのは。
虚構のハルヒとはいえそれを泣かせたこと――――。
気が付けば俺は朝倉の胸倉を掴み、その体を黒板に押し付けていた。
頭の奥が熱かった。まるで灼熱のよう。女に手は出したくなかった。こいつは女でありながらそうじゃない。だから構いやしない。そう結論づけた。

「…もう、ちょっと痛いわよ…」

「知るか。悪いがもう限界だ。つまらない記憶なんか埋め込みやがって…。それにもう表情なんか作る必要はない。くだらないことは止めろ」

朝倉は痛がったような顔をしている。作られた表情だった。本当は何も感じないのに無理やりそんな顔をしようといていた。
くだらない演技。怒りは収まらない。

「あら…バレてたんだ。けっこう上手くやったつもりだったんだけどな」

「御託は良い。説明しろ。俺になにをしたかったか。何故わざわざこんな手のこんだ真似を用いたか。それだけで良い」

「慌てなくても、ちゃんと説明してあげるわ。だから…手を離してくれない?喋りづらいの。」

仕方なく手を離す。朝倉はふぅと一息吐いた。俺はずっとそんな朝倉を睨んだままだ。

「そんなに怖い目しないでも良いじゃない」

クスクスと笑う朝倉。俺は黙ってそんな彼女を見つめている。

「分かったわよ…。今回ね、あなたが連れて来られたこの世界は作り出された世界。そしてもろい世界でもある。そして、あなたを連れて来たその目的はね、涼宮さんより、思念体の急進派があなたに興味を持ったからなの」

「なに?」

驚きの声が漏れる。俺に興味を持ったとはどういうことなのか。こんな普通の人間に。

「あなたは本当に普通の人間。けれど、普通の人間でありながら知らなくても良かったことを知っている。そして色々な能力を持った人たちと自分から進んで一緒にいる」

長門、朝比奈さん、古泉の顔が浮かぶ。
――――ハルヒの顔が浮かぶ。

「そこであなたは涼宮さんと恋仲になった」

その記憶。今の俺には存在していなかった。俺の中にはあの泣き顔しかない。実感がない。
それが悔しく、悲しい。

「それからよ。私たちが本格的にあなたに興味をもったのは。お互いが強く想い合っていることもよく分かっていたし。思念体も成長あいたのよ。そのくらいの感情は分かるようになったんだから」

思念体のことなんかはどうでも良かった。ただ俺にこんなことをして、何が知りたいのかを聞きたかった。

「それだからね、涼宮さんじゃなくてあなたの行動を見てみようということになったの。涼宮さんと別れた…悲しい別れをしたあなたがどうなってしまうのか――――それが今回の目的ね。あなたは私たちにとっても、最重要人物であり、最も実験に適した人物なの」

再燃した怒りが沸点を突破した。ふざけるなと思った。俺にだけ被害が来るのはまだ良い。実験なんかいくらでもやってくれていい。だが、巻き込まれたものハルヒ。作りだされたとはいえ、俺の中でハルヒはハルヒだった。
今俺の記憶に居るハルヒだった――――。

「お前…」

「あら。また怒らないでよキョン君。大丈夫よ。元の世界にはもう帰してあげるから」

朝倉がそう言ってから、俺の視界は真っ白に染まった――――。
スポンサーサイト
thame:涼宮ハルヒss genre:小説・文学
悪い夢 | トラックバック(0) | コメント(0) |permalink
<<悪い夢を見た後は   |  home  |   笑顔と未来の約束>>
Comment

管理者にだけ表示
  |  home  |  
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。